ミレニアム開発目標3 ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上(みれにあむかいはつもくひょう3)
■具体的目標
できれば2005 年までに、初等・中等教育において、2015 年までにすべての教育レベルで、男女格差を解消する。
『一部の地域で小学校就学の男女平等は未達成』
全体的な就学率向上への取り組みの一環として、多くの国々が女子教育の促進に成果をあげる中、ほとんどすべての地域で、学校は女児にとって狭き門ではなくなった。2000 年から2006 年にかけ、女子就学率はすべての開発途上地域で、男子就学率よりも大きく改善した。その結果、3 カ国に2 カ国が初等教育レベルで男女平等を達成している。しかし、こうした目に見える成果にもかかわらず、女子は依然として学校に通っていない子どもの55%を占めている。
南アジアは2000 年以来、全体的な初等教育就学率の向上に成果をあげる中で、男女平等の達成に向けて最も大きな進展を遂げた。サハラ以南アフリカや西アジア、北アフリカでも、男女格差が縮まってきている。しかしその反面、オセアニアでは初等教育就学率における男女格差がわずかに拡大するなど、後退も見られている。初等教育就学率で男女格差が最も大きいのはオセアニア、サハラ以南アフリカ、西アジアの3 地域である。留年や中退が多く見られる西アフリカや中部アフリカでは、特に女子が就学できなかったり、中退を強いられたりすることが多い。この地域では、干ばつや食料不足、武力紛争、貧困、出生届制度の不備、子どもの労働、そ
してHIV やエイズが、男女双方の就学率の低さと中退率の高さにつながっているが、その影響は特に女子にとって深刻である。
『小学校就学の男女平等は、女子の進学にとって大きなプラス』
初等教育の男女格差が縮まる一方で、修了後の進路については、女子は中等教育へ進み、男子は就職するという傾向が見られる。女子の中等教育就学率が男子を上回る地域も3 つある。ラテンアメリカ・カリブ海では、男子の成績不振が特に大きな懸念となっている。これとは正反対に、女子の初等教育就学率が男子に劣る地域では、中等・高等教育でさらに男女格差が広がっている。
『貧しい農村地域の女子を学校にとどめるためには重点的対策が必要』
開発途上国では、最富裕層と都市部で男女の小学校出席率がほぼ同じになっている。しかし、農村部と最貧層の女子を就学させ、学校にとどめるためには、重点的な奨励策が必要である。遠隔地での分校設置や授業料の廃止、給食の提供、男女別の衛生施設整備、安全な学校環境の確保、早婚回避の促進といった措置は、女子の学校出席率改善に貢献している。
『雇用機会は改善するも、女性の職の多くは依然として不安定かつ低賃金』
女性が収入を得られる機会は、これまでになく広がっている。女性が非農業部門の有給雇用全体に占める割合は、1990 年の35%から40%近くにまで上昇した。しかし、開発途上地域では、女性のほぼ3 分の2 が自営業者や無給の家族労働者といった、不安定な職に就いている。南アジアとサハラ以南アフリカでは、この種の職業が女性の雇用全体の80%以上を占めている。女性はまた、パートや季節労働者、短期の非正規雇用においても不釣り合いに大きな割合を占め、職の安定や諸手当を得られない立場にいる。依然としてジェンダー的な役割分担が見られる職業もあるが、女性の仕事とされている職業は地位が低く、賃金が安く、労働条件も劣悪な傾向にある。学歴の高い女性は地位を向上させており、女性管理職の割合も高まってきたが、ほとんどの女性は地位と評価が低い職にとどまり、昇進への道も固く閉ざされている。その結果、女性はその労働を有給化し、さらに高く安定した賃金を確保することに大きな困難を覚えている。女性が雇用の安全と諸手当を平等に得られることが多い政府部門でさえ、女性は中央政府よりも地方自治体に集中する傾向が見られる。このような不公平を是正するため、開発パートナーはジェンダーの平等と女性の地位向上を重視してきた。例えば、2005~2006 年の二国間援助のうち6 分の1 は、女性の地位向上をねらいとした部門に割り当てられている。
『女性の政策決定への参画は徐々に進むも、進展は不安定で地域的な格差大』
2008 年1月、全世界の国会議員に女性が占める割合はほぼ18%に達した。しかし、この割合は一進一退を続けており、しかも世界的平均値は各国や各地域の格差を覆い隠している。女性国会議員の割合が40%以上となっているのは5 カ国であり、48.8%のルワンダを筆頭に、スウェーデン(47%)、キューバ(43.2%)、フィンランド(41.5%)、アルゼンチン(40%)の順となっている。女性国会議員の割合が30%以上の国々も20カ国あるが、その中にアジア諸国の姿はない。ミクロネシア連邦、ナウル、オマーンおよびカタールでは、2007 年の改選によって女性議員がいなくなった。また、全体の3 分の1 に当たる国々では、女性国会議員の割合が10%を切っている。
北欧諸国は引き続き他をリードしており、女性議員の割合は平均で41%を超える。ラテンアメリカ・カリブ海でも女性議員の割合が増え、全議席数の22%となっている。近年では、サハラ以南アフリカで女性議員が増えてきたが、この増加傾向は2007 年もほぼ維持された。女性の参加が後退した地域は、オセアニアのみである。
女性国会議員の割合に差が見られるのは、偶然のことではない。選挙制度に女性枠のある国々では、女性議員の割合が高くなっているからである。女性枠は重要な支援メカニズムであり、政党による女性候補者の積極的公認や、選挙運動や資金集めに関する研修の実施など、追加的な措置とともに実施することもできる。女性候補者が活発な市民運動の支援を受けている国々も見られる。こうした取り組みを支えているのはいずれも、女性の国会議員を増やそうという指導者の政治的意志である。
国会議員の数こそ増えているものの、女性が政府首脳レベルのポストに就くことはほとんどない。2008 年1 月時点で、公選による国家元首150人のうち女性は7 人にすぎず、国連加盟国の政府首脳192 人の中でもわずか8 人となっている。世界全体の閣僚に女性が占める割合も16%にすぎない。その内訳を見ても、30%以上の女性閣僚を抱える国々が、欧州とアフリカを中心に22 カ国ある一方で、13 カ国の閣僚には女性の姿が全くない。
他の代議員に女性が占める割合も重要である。女性は平均で、難民キャンプに暮らす人々の半数を占めているのに対し、キャンプの意思決定プロセスへの参加率は依然として低い。80 カ所以上のキャンプのデータを見ると、男女の平等参加が達成されているのは5 カ所につき2 カ所程度にすぎない。しかし、2005 年から2007 年の最新データを見ると、難民キャンプでの女性の政治参加が活発化していることがわかる。
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