ミレニアム開発目標6 HIV/エイズ、マラリア、その外の疾病の蔓延防止(みれにあむかいはつもくひょう6)
■具体的目標
2015 年までに、HIV/エイズの蔓延を阻止し、その後減少させる。
『一部で成果も、特にサハラ以南アフリカでエイズの猛威続く』
毎日、新たに7,500 人近くがHIV に感染し、5,500 人がエイズで死亡しているが、そのほとんどはHIV の予防・治療サービスがないことによる。この驚くべき数字にもかかわらず、エイズ対策ではいくつか心強い動きも見られ、地道な成果も得られている。
予防プログラムの改善により、新規HIV 感染者数は2001 年の300 万人から、2007 年には270 万人へと減少した。また、抗レトロウイルス治療サービスの普及により、エイズによる死者数も2005 年の220 万人から、2007年には200 万人へと減少を始めた。しかし、新規感染者の寿命が延びたこともあり、HIV 感染者の推定数は2001 年の2,950 万人から、2007 年には3,300 万人へと増大した。これらHIV 感染者の大多数は、サハラ以南アフリカに暮らしている。
『女性HIV感染者の割合はほぼ全地域で上昇』
全世界の15 歳以上のHIV 感染者は2007 年の推定で、女性が1,550 万人、男性が1,530 万人であるが、これは2001 年のそれぞれ1,410 万人と1,380 万人よりも増えている。サハラ以南アフリカでは、2007 年の成人HIV 感染者のうち、ほぼ60%が女性である。
『予防プログラムで成果』
サンプル・データや各国調査を見ると、HIV 予防は特に、危険性の高い性行動の削減に成果をあげている。15 歳から24 歳までの妊婦のHIV 感染率は、全体的な蔓延動向を正確に反映すると見られる。これら女性の感染時期は、最近である可能性が高く、死亡率や抗ウイルス治療がデータに及ぼす影響も少ないからである。2000~2001 年以来、産前の診察を受ける若年女性のHIV 感染率は、感染率が最も高い17 カ国のうち14 カ国で低下している。
感染率が高い35 カ国のうち19 カ国を見ると、15 歳から19 歳までの男女のうち、15 歳の誕生日を迎える前に性交渉を開始した者の割合は、1990年から2007 年にかけ7 カ国で低下、2 カ国で上昇した。この同じ期間に、15 歳から24 歳までの男女のうち、最近の12 カ月間に複数のパートナーと関係した者の割合は、10 カ国で減少、1 カ国で横ばいであったほか、女性について2 カ国、男性について1 カ国で上昇した。最後に、15 歳から24 歳で、最近12 カ月間に複数のパートナーと関係した者のうち、コンドームを使用した男性の割合は12 カ国で上昇したほか、女性の割合も8 カ国で上昇している。
『抗レトロウイルス薬で寿命は延びるも、供給は依然として治療の必要性に追いつかず』
抗レトロウイルス治療を受けるHIV 感染者は2007 年、約95 万人増加した。しかし、同年だけでも新たに270万人が感染していることから、治療の必要性は抗レトロウイルス薬の供給をはるかに上回るペースで拡大している。開発途上国でエイズ治療を必要とすると見られる970 万人のうち、2007 年末までに投薬の対象となったのは300 万人にすぎない。東アジアや南アジア、独立国家共同体(CIS)で治療を受けている者の割合は、サハラ以南アフリカよりもはるかに低い。それでも、サハラ以南アフリカではエイズ危機の規模自体が大きいため、約500 万人が抗レトロウイルス治療を受けられないでいる。普及が遅れているとはいえ、開発途上国でのレトロウイルス薬の使用による寿命の伸びは2002 年以来、総計で320 万年に達したと見られるが、サハラ以南アフリカだけで、そのうちの200 万年を占めている。
『エイズ孤児対策の整備は進むも、具体的な支援に遅れ』
政府と国際社会は当初、エイズの被害を受けた子どもたちが抱える深刻な課題に十分な対応を行わなかったが、この状況は変わりつつある。孤児や弱い立場にある子どもたちを対象に、教育や保健医療、社会的福祉や保護を含め、最低限のサービスの提供を進めている国々もある。2007年末までに、エイズ孤児その他の弱い立場にある子どもを対象として具体的な国家行動計画を策定した国はサハラ以南アフリカの21 カ国を含め、24 カ国に上る。さらに、サハラ以南アフリカ9 カ国を含む10 カ国が、このような国家計画を策定中である。
子どものエイズ被害者向けの政策を国家開発計画や子どもに関する計画全般、さらには教育省、保健省などの省庁別政策計画に盛り込んでいる国々も多い。データが入手できる19 カ国を見ると、孤児や弱い立場の子どもがいる世帯のうち、外部の支援を受けているものの割合は、シエラレオネの1%からスワジランドの41%と一定しておらず、中央値は9%である。HIV 感染率が高い国々でも、こうした政策の普及率は低い。
■具体的目標
2015 年までに、マラリアその他の主要な疾病の発生を阻止し、その後発生率を下げる。
『大きな進展も、殺虫剤処理済みの蚊帳の使用は全体的目標に届かず』
全世界の殺虫剤処理済み蚊帳の生産量は、2004 年の3,000 万張から2007年には9,500 万張へと増大した。資金の増大も相まって、各国で調達、配給される蚊帳の数も急増した。例えば、ユニセフは蚊帳の調達量を2004年の700 万張から2007 には2,000 万張へと増やしたほか、「エイズ、結核およびマラリア対策のためのグローバル基金 」も、その配給量を2004年の135 万張から2006 年には1,800 万張へと拡大した。その結果、時系列データがあるサハラ以南アフリカ諸国ではいずれも、5 歳未満の子どもに殺虫剤処理済みの蚊帳の使用が広がっている。これら20 カ国 のうち16 カ国では、2000 年頃から普及率が3 倍以上に延びた。このような前進にもかかわらず、殺虫剤処理済みの蚊帳の使用は全体として、世界的目標に届いていない。
『マラリア治療の新戦略は有用だが活用不十分』
マラリアについては、予防よりも治療に進展の遅れが見られる。サハラ以南アフリカでは、子どもの熱病患者の治療がある程度進んでいるが、2000 年以降に治療の進んだ国はほとんどなく、しかもほとんどの患者が有効性の比較的低い薬を投与されている。サハラ以南アフリカで人口のほぼ半数を抱え、時系列比較の可能なデータがある22 カ国について見ると、熱病にかかった子どものうち、抗マラリア薬の投与を受けた者の割合は、2000 年の41%から2005 年には34%へと低下している。しかも、その中の14 カ国で、高価だが有効性の高いアルテミシニン併用療法(ACT)による治療を受けている者の割合は、2004 年から2006 年にかけて6%未満にとどまっている(ザンビアは例外で、ACT 普及率が13%に上昇)。2005 年以降は、ACT 調達のための資金と実際の調達量が顕著な増加を見せており、サハラ以南アフリカ諸国はほとんどすべて、国内政策を一気にシフトさせて、ACT 治療の促進を図っている。
証拠を見る限り、予防プログラムを大規模に展開し、より効果の高い抗マラリア薬の普及を進めれば、マラリア患者とマラリアによる死者を 大幅に減らせることがわかる。ベトナムでは1991 年、殺虫剤処理済みの蚊帳や家庭用スプレー剤、抗マラリア薬の配給など、マラリア対策が国家的優先課題として実施されるようになってから、マラリア患者数が劇的に減少した。エリトリアでは、2000年から2006 年にかけて100 万張以上の蚊帳が配給され、2004 年にはすでに、マラリア感染の危険性が高い地区に暮らす世帯の約80%に蚊帳が普及していた。その結果、マラリアの患者数とマラリアによる死者数は記録上、2000 年から2006 年までに70%以上減少した。ザンジバルの重点監視区域では、すべての厚生施設でACTが無償供与されるようになった2003 年から2005 年までの間に、入院患者を含めたマラリア患者数が70%減少したほか、5 歳未満の幼児死亡率も50%低下した。南アフリカでは、1990年代に原虫の薬や殺虫剤への耐性が高まる中で、マラリアが流行したが、その後のACT 導入や蚊の駆除徹底(DDT 散布を含む)を受け、2000 年から2006 年までに記録上の患者数と死者数は80%減少した。
全体的目標には依然として届かない国のほうが多いとはいえ、マラリアに関する資金調達と関心が一気に高まる中、多くの国々ではマラリア対策が本格化した。また、さらに有効な新しい対策(効果が長持ちする殺虫剤で処理した蚊帳など)が開発され、重要な物資の生産と配給も改善してきた。しかも各国は、効果が高くても、資金が少なければ利用できなかったはずの戦略(ACT の使用など)の採用も早めている。こうした動きを見る限り、マラリア対策の足取りは今後、さらに早まるものと見られる。
『結核の目標達成に向けた進展はまちまち』
2006 年の結核による死者は170 万人、結核患者は1,440万人で、うち新規感染者は920 万人と見られる。この数字は2005 年を上回っているが、その原因は主として人口増加にある。開発途上地域では、人口10 万人当たりの新規結核患者数(罹患率)が2004 年にピークを迎えた後、2005 年から2006 年にかけて0.7%減少した。世界的にこのトレンドが維持されれば、結核の新規感染はやがて頭打ちとなり、2015 年を待たずに減少を始めるはずである。
結核撲滅の成否は、新規感染者の早期発見と効果的な治療にかかっている。しかし、2005 年から2006 年にかけ、早期発見面での前進は停滞した。発見率は61%へと微増にとどまり、70%という最終目標値はおろか、「ストップTBパートナーシップ」の世界結核対策計画に盛り込まれた2006 年のベンチマーク65%にも届かなかったのである。
未発見の結核患者のうち、3 分の2 以上はアフリカ、中国、インドに集中している。中国とインドでは、2006年に発見率の改善がほとんど見られなかった。アフリカでの発見率(2006 年時点で46%)は、目標値から最も遠い位置にある。
『2015 年までの結核感染率半減は望み薄』
DOTS(直接監視下短期化学療法)プログラムによる結核治療の成功率は2005 年に84.7%と、信頼できる監視が始まって以来、最高の水準に達し、85%という目標にも迫った。DOTS プログラムは、適切な診断と登録の上で、各結核患者に標準化された複数薬剤投与行う治療法で、結核の相対的影響の軽減に役立っている。
結核の感染率(10 万人当たりの患者数)と結核による死亡率は、新規感染を上回るペースで低下している。2005 年から2006 年にかけ、HIV感染者を含む全体的な感染率は2.8%低下し、10 万人中147 人という2015 年の目標に対して、219 人にまで減少した。これに伴い、死亡率も2.6%低下し、10 万人中14 人という目標に対して、25 人にまで減少した。
DOTS はその成功にもかかわらず、1990 年から2015 年までに世界の感染率と死亡率を半減させるという「ストップTBパートナーシップ」の目標達成に必要な影響力を世界的に及ぼすまでには至っていない。最近5 年間のトレンドが続けば、サハラ以南アフリカと独立国家共同体(CIS)諸国はどちらの目標も達成できず、世界全体で目標を達成できる可能性も遠のいてしまうことになる。これら目標を達成するためには、進展の遅れている地域で、活動性結核診断の水準と時期を改善し、治療の成功率を高めなければならない。
画像
※ダブルクリックで拡大できます。
注文に失敗しました
カートに商品が入っていません記事一覧
- (株)マザーハウス 山口絵理子さん [2009/10/16]
- 2009年夏季スタディツアーの受付が終了いたしました。 [2009/08/31]
- グローバルインサイトと提携いたしました。 [2009/08/24]
- WEB製作代行サービス開始のお知らせ。 [2009/08/23]
キーワード検索
キーワード一覧
- IMF [あいえむえふ]
- ILO [あいえるおー]
- ICA文化事業協会 [あいしーえーぶんかじぎょうきょうかい]
- ICP [あいしーぴー]
- IDA [あいでぃーえー]
- IBRD [あいびーあーるでぃー]
- IPCC [あいぴーしーしー]
- IUCN [あいゆーしーえぬ]
- ADRA Japan [あどらじゃぱん]
- アフガニスタン [あふがにすたん]
- アフリカ [あふりか]
- AMDA [あむだ]
- アルジェリア [あるじぇりあ]
- アルテミシニン併用療法 [あるてみしにんへいようりょうほう]
- UNCTAD [あんくたっど]
- 一次産品 [いちじさんぴん]
- イラン [いらん]
- インド [いんど]
- ACT [えーてぃーしー]
- エイズ [えいず]
ログイン

コメント