B型肝炎(びーがたかんえん)
B型肝炎(ビーがたかんえん, Hepatitis B, HB)とは、B型肝炎ウイルス (HBV) に感染することで発症するウイルス性肝炎の一種である。
■目次
1 病原体
2 感染・経過
3 症状
4 診断・検査
5 予防
6 治療
■病原体
ヘパドナウイルス科オルソヘパドナウイルス属に属するB型肝炎ウイルス (Hepatitis B Virus; HBV) である。
■感染・経過
HBVは血液が主な感染経路である。輸血・臓器移植・注射器による針刺し事故・性交渉・母子感染が原因となる。
かつては輸血による感染が多かったが、先進国では検査体制が確立したためほとんど見られない。現在は針刺し事故や覚醒剤注射の回し打ちなどが主であるが、臓器移植によるものも見られる。また、最近の刺青業者は衛生面に気を遣っているようだが、昔は針の使い回しが多く、刺青を入れた年代によっては感染の危険性が高い。
歯科医療においては歯科器具の滅菌が行われているが、治療器具の内部まで滅菌処理を行っている医院は日本の歯科医の交差感染に対する意識が低いため非常に少なく、また多くの歯科医院では切削に使用された機器の外部をアルコール消毒しているが、121℃以上の熱で数分滅菌を行わないと肝炎のウィルスは死滅しない為、また歯科機器内部の滅菌処理を行っていない歯科医院が多いため、歯科治療がB型肝炎の感染経路となっている事もある。
B型肝炎の母親から生まれた子供はB型肝炎の持続感染者(キャリア)となる。
最近は高HBIG(高力価HBs抗原ヒト免疫グロブリン・HBワクチンにより感染の減少がみられる。母子感染予防対策は大きな効果を発揮している。
B型肝炎ウィルスの感染様式は2つあり、一過性感染と持続感染がある。一過性感染のうち、20~30%が急性肝炎を発症する。さらに、急性肝炎のうち、1~2%が劇症肝炎化する。劇症肝炎を発症すると、70~80%は死亡する。一方、持続的にウイルス感染する場合、C型肝炎と同様、慢性肝炎・肝硬変あるいは肝臓癌の転機をとることがある(ただし、無症候性キャリアといって持続感染しても発症しない人が80~90%いるが、無症候性キャリアであっても、慢性肝炎になったり、肝臓癌になる患者も一部いる)。
近年、日本ではあまり見られなかったジェノタイプA(北米、欧州、中央アフリカに多く分布する)のB型肝炎ウィルス感染が広がりつつある。ジェノタイプAのB型肝炎ウィルスに感染した場合、その10%前後が持続感染状態(キャリア化)に陥る。本来、日本に多いジェノタイプCのB型肝炎ウイルスは、成人してからの感染では、キャリア化することはまれであったことから、ジェノタイプAのB型肝炎ウィルス感染の拡大には、警戒が必要である。
■症状
急性肝炎
発熱や全身倦怠感、その後食欲不振や悪心・嘔吐が出現する。黄疸となる可能性もある。激しい場合は劇症肝炎やD型肝炎の混合感染も考える。
慢性肝炎
自覚症状は少なく、全身倦怠感、食欲不振、易疲労感などを認めることがある程度である。
■診断・検査
急性肝炎
問診
発症前6ヶ月間に輸血、注射、手術、針刺し事故、覚醒剤注射などの感染の原因となりうることがあったかどうかを確認する。
血液検査
IgM型HA抗体、HCV抗体を検査しA型肝炎やC型肝炎などを除外する。HBs抗原の検査でB型肝炎の感染を特定できる。
肝酵素の上昇を計測する。
慢性肝炎
ウイルスの増殖を肝機能は反映しないこと、ウイルス増殖が多いと肝癌の発症が多いことが分かっている。
血中ウイルス量の測定にはDNAポリメラーゼや定量PCR,定量TMAが用いられていたが、現在は測定レンジの広さから、リアルタイムPCR法に取って代わられつつある。
肝の傷害の程度は合成能、排泄能、線維化についてそれぞれ評価する.
合成能:凝固因子、ヘパプラスチンテスト、PT、APTTなど
排泄能:ICG15分値など
線維化:ヒアルロン酸、IV型コラーゲンなど
■予防
母子感染予防
外国では母子感染予防の為、B型肝炎ワクチンを乳児期に定期接種している例が多い。
日本では、母子感染防止対策事業として、妊婦に対するHBs抗原検査が実施され、健康保険により陽性妊婦からの出生児への抗HBs人免疫グロプリンの投与及びB型肝炎ワクチンを接種している。
渡航者もB型肝炎ワクチンの接種対象となる。日本製、または、日本で承認されているB型肝炎ワクチンの抗原量は10マイクログラムであり、日本以外の製品の20マイクログラムの半分量であること、また、いずれの場合も、"low responder"や"non-responder"という、抗体産生反応をしにくい被接種者がいることも熟知されたい。
接種スケジュールは、一般的には1回目と2回目が4週間間隔(米国では30日)、2回目と3回目が半年間隔である。10年間抗体維持。
緊急接種の場合(緊急でハイリスク暴露になる可能性がある場合)、米国では次の接種法が承認された。1回目と2回目が1週間間隔、2回目と3回目が2週間間隔、3回目と4回目が1年間隔。これで、10年間の抗体維持ができるとされる。
労働災害防止(対象 医療関係者・救急関係者等)
労災事故防止の観点から実習前の段階からB型肝炎ワクチンの接種が望ましいとされているが、日本では労働安全衛生法上の義務にも関わらず一部の医療機関でB型肝炎ワクチンの予防接種の未実施や接種費用の一部の自己負担を請求している等の問題がある。
■治療
*急性肝炎
対症療法が主である。肝庇護薬など。
*慢性肝炎
肝庇護薬(UDCA)や抗ウイルス薬(エンテカビル、ラミブジン、アデフォビル)、インターフェロンの投与。
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